メキシコ発のニュースが世界を不安に陥れている。豚のインフルエンザウイルスが人の間で蔓延し、死者も出ているというのだ。
学者や政府関係者は「冷静に」と呼びかけているが、情報がなければ冷静になることは難しい。
パンデミック(疫病の世界的流行)の歴史を振り返り、今回の状況を過去の事例と比較してみよう。
新型インフルエンザの発生
メキシコで豚のインフルエンザに多数の人間が感染し、死者も出ているというニュースが人々を驚かせたのは、4月24日のことだ。
それから次々と他国でも感染者が判明し、このウイルス(インフルエンザA型 H1N1)が原因で発病した人は、世界21カ国で合計1490人、そのうち死者は30人となった。(5月5日現在、WHO発表)
WHO(世界保健機関)では、感染状況を示す指標を「フェーズ5」に引き上げた。
これはパンデミック(疫病の世界的流行)の一歩手前、ヒト→ヒトの感染がかなり大きな集団で起きていることを示す、最大の警戒が必要とされる段階である(2005-06年の鳥インフルエンザの際はフェーズ3)。
日本では『水際作戦』と称して、国内に新型インフルエンザを入れないよう警戒態勢をとっているが、既に感染者が多数出ているアメリカとの日常的な人の行き来を考えると、日本でもウイルスの侵入が確認されるのは時間の問題だろう。
こうした事情は世界中似たり寄ったりなので、パンデミックは避けがたいのかもしれない。
実際、アメリカやスペインで感染が拡大してきた今、遂にフェーズ6への引き上げも検討されているようだ。
しかし、それがただちに悲惨な事態を意味するわけではない。
国際協力、各国政府の的確な対策、個々人の適切な行動、そして今回のウイルス自体の性質などによっては、例年のインフルエンザ程度の影響にとどまる可能性もある。
●キーワード WHO(世界保健機関)
国連の専門機関のひとつ。
すべての人々の健康の達成を目的として、1948年に設立された。
今回注目されている疫病対策のほかに、保健、衛生促進のための技術協力や支援、風土病撲滅のための活動、食品や医薬品に関する国際基準の策定などを行っている。
●キーワード パンデミックフェーズ
WHOが定義する、新型インフルエンザがパンデミックに至る6段階のこと。
このフェーズに沿って、日本政府も対応策を実行していくことになる。

2009年5月 8日










































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