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第5回未来をつくる「仕事」の探し方~親としての[よのなか]科

第5回 未来をつくる「仕事」の探し方

13歳のハローワークマップ前回わたしは、子どもがキャリアについて考えるときに、「想像力」が大切であるとお話しました。今回は、村上龍さんと幻冬舎が監修し、わたしが企画協力した「13歳のハローワークマップ」をもとに、それについて述べていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

「13歳のハローワークマップ」は職業星座表

「13歳のハローワークマップ」(制作:トップアスリート社)は、村上龍さんの著書『13歳のハローワーク』に登場する514の職業を、星座のように配置した職業地図です。マップには、いくつかのグループごとに関連する職業が並べてあり、職業どうしの距離や書かれた名前の大きさは、それらの関連の度合いを示しています。わたしが校長を勤めていた和田中では、このマップがつねに生徒の目に入るよう、あらゆる場所に貼られています。ただ眺めるだけでも、今の社会には、実に様々な職業があることがわかります。

ただ、ここに描かれた職業は、決して普遍的なものではありません。この中には、1000年前から変わらずに存在する職業もあれば、社会の変化によって消えてゆく運命の職業もあります。また、数十年前には考えられなかった新しい職業も存在しています。

今現在、コンビニには、およそ3000点の商品があり、そのうちの7割がつねに入れ替わっていると言われています。でも、人はそのことに気づかないものです。今のように変化の激しい社会では、職業すらもそれと同じように、今後20年ほどの間でがらりと変わっていくでしょう。このマップは、「職業の名前を暗記する」ためのものではなく、職業を考える「手がかり」のひとつなのです。

藤原和博

マップから「新しい仕事」を創る

和田中では、中1の段階から、中2で行う職業体験の準備となる授業[よのなか]科ジュニアを実践しました。その中に、このマップを使い「今までになかった仕事を創る」時間があります(正進社の「よのなか科ワークシート第4集」を使います)。
まず、何か1つの職業を選び、その仕事の前工程・後工程にはどんな仕事があるかを考えます。たとえば「自動車の製造」という仕事の前には「設計」、後には「販売」がある…といった具合です。

仕事と仕事の間の関連性がつかめたら、次は、マップから2つの仕事を選び、それらを「混ぜ合わせた」仕事にはどんなものがあるか、考えていきます。「美容師」と「マジシャン」なら「マジックをお客に見せながらカットする美容師はどうだろう…?」というふうに、どんどん想像をふくらませていくのです。創った仕事には名前をつけ、その仕事に必要な資格や能力、向いている性格(キャラクター)を挙げていきます。最後に、お互いが考えた新しい仕事を発表し合い、クラスメイトと自分との着眼点の違いや共通点、おもしろいと感じたところ、発見したことなどをまとめます。

「仕事=与えられた中から選ぶもの」ではありません。とくにこれから先の社会には、新しい仕事をどんどんクリエイトできる余地がたくさんあるし、将来、それがメジャーになる可能性も十分あると思います。

職業と職業の間に、果たしてどんな仕事が見えてくるか――子どもと一緒に夜空を見上げ、新しい星を探して目を凝らす――そんな感覚で「13歳のハローワークマップ」を使ってほしいと思います。 

職業どうしのつながりを見つける

職業を考えるときは、自分の周りにどれだけの職業があるかをイメージできることも大切です。たとえば、「サッカーが好きだから中田選手のようになりたい」と思うだけでは、子どものキャリア観は広がっていきません。有名スポーツ選手や芸能人に憧れる時期は確かにありますが、その周りにどんな職業の人たちがいるのかまで思い描ける想像力がないと、将来の選択肢は非常に狭くなってしまうでしょう。

[よのなか]科ジュニアでは、今の自分の興味や関心についてキーワードを探し、それに関係がありそうな職業をひとつ挙げ、そこに関わる仕事を書き出していく時間を設けました。先ほどのサッカー選手なら、それを中心に、トレーナー、グリーンキーパー、スポーツメーカーの社員、スポーツジャーナリスト…といったふうに、職業と職業とを結びつけ、関連図を描いていくのです。関連図の広がりは、自分のもつ世界観の広さを示してくれます。また、自分がいかに[よのなか]とつながっているのかも教えてくれます。

なりたい仕事を探すことが、キャリア教育の「正解」ではありません。ある一つのことが、社会のどれくらいの事柄と結びついているのかをイメージし、自分自身と周りの世界とをつなげていく技術を子どもが獲得できることが、キャリア教育の本当の意味なのです。

キャリアの土台となるのは、前回触れた「豊かな世界観」と「やわらかな人生観」です。この2つの世界を広げるために、親は「この職業に就けば将来は安定できる」といったパターン認識に陥らないよう、十分に気をつけてほしいと思います。

藤原和博


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