一人ひとりに、学びの醍醐味と学問の面白さを知らせようと、この時期に必要な学力と人間形成に全力を注いでいます。自由な環境と校風の中で、世間の風潮や価値観に流されず、自分の価値観の核をしっかりと築くための6年間は、人生の財産となるでしょう。
校風・学習
創立以来の「自由闊達な校風」は現在も息づく
同校は、1895(明治28)年、元幕臣の江原素六によって創立されました。彼は、厳しい武士の倫理観の元に自己を形成しましたが、新時代の息吹の中でキリスト教に接することにより、その倫理的な姿勢を鮮明にします。
最後まで自主自立の精神の追求者であり、「絶えざる自己反省と他者への温かいまなざし」があって、初めて自主自立は達成できるものであると考えました。この創立者の建学の精神が今も麻布に息づいているのです。明文化された校則がないことでも知られている自由闊達な校風が、一朝一夕にできたものではないことがわかります。
同校は、12歳から18歳という中学・高校時代を、人生の核を形成する大事な時期ととらえています。その上で、将来をしっかりと見据えるためにも、自由な環境と校風の中で、自分の価値観を築いていくことを、教育方針としています。
麻布に入学してくる生徒は、小学校や塾で常にトップの成績をとってきた「一番」が集まっています。けれども、将来社会に出たら、互いを認め合うことが必要になってきます。他者と関わるなかで、いろいろな見方、考え方に触れ、一番である自分を一度「破壊する」ことが必要になるのです。12歳の生徒にとって、自己をリセットすることは大変なことですが、同校では、共同作業など、友人と切磋琢磨し、他者を認め自分を知るという場を設け、人間形成のために力を注いでいます。
何か問題が起こったときにも、それに立ち向かえるよう、あらゆることをオープンにして、偏った見方をしないように指導しています。
先生自らが学び研究する姿を生徒に示すことも、麻布教育の特徴です。たとえば、『麻布文庫』があります。これは同校の教員や卒業生など、広く麻布学園の教育に携わっている人々の研究成果を、学園の知的財産として後世に残し、代々の生徒たちと共有するために発刊されているものです。『江原素六の生涯』(加藤史朗・元教諭)、『君たちの地球はどうなっているのか そして、どうなっていくのか -かけがえのない地球-』(山賀進・教諭)など、現在10冊が刊行されています。
特徴ある学習を含め一人ひとりの資質を伸ばすための教育
中高一貫の特徴を生かしたカリキュラムで、独自のプリントを教材として用いるなど、各教科の先生が工夫をこらして、学びの醍醐味、学問の面白さを伝えようとしています。
中学1、2年では、知識体系を築きながら、同時に学習意欲を高めていくようにしています。例として、数学では、代数と幾何の2科目を設定し、小テストを頻繁に行って学習内容の定着を図ります。その土台の上に中学3年では高校数学の基礎を学び、高校1、2年ではその内容を発展、深化させます。高校2、3年は、将来の進路に配慮して選択制を取り入れ、演習にも重点をおいた授業を行います。数学の厳密性、論理性を重視しつつも数学の持つ楽しさ、美しさをも体感できるような内容になっています。
同校独自の取り組みはいくつかありますが、その一つが、年に1度発行している『論集』です。生徒の学習意欲と知的好奇心の高揚を願い、生徒の作品、報告書、論文などを選んで掲載しています。
近現代作家の小説を論じる中3の「共同卒業論文」や、自分でテーマを決めて論じる高1の「社会科修了論文」など、書く機会が非常に多いことは特徴です。
また、同校では読書を奨励しています。充実した図書館もあり、麻布生は本離れとは無縁の生活を送っているようです。
『教養総合』という、既成の枠にとらわれない授業も、独自のプログラムです。高1・高2生を対象に、土曜日の2時間を使って行われるもので、生徒たちは、テーマ性の高い多様な授業群の中から自分の関心にあった授業を選択して取り組んでいます。勉学への積極性、自発性を高めることをめざした試みです。
こうした学習環境により、学ぶこと自体に面白さや価値があるというメッセージを、生徒に送り続けているのです。毎年すばらしい大学合格実績を誇る同校ですが、その教育内容は、大学受験という目先の目標が小さなものと感じられるほど充実しています。

2008年11月 1日


























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